負債の洗い出し
家族の意志が固まれば、さて具体的に何をしたらよいのか。
何はともあれお金の心配です。
現状を把握するのは家族の状態だけではありません。
私のように、漫然と定年を迎え退職金と年金で食いつなごうなどと怠惰なことを考えていた愚か者には、当然のようにローンが残っていました。
何せ「借金も財産のうち」などと本気で思っていましたから。
ええ、今でもそう思っていますが。
記録開始
しかし、
さすがに心機一転という気持ちになりました。
遥かかなたの沖縄へ移住するのですから、身をキレイにして移るべきだと思いました。
そこで、分厚いノートを1冊用意して、その見開きに我が家の借財状況をすべて書き出してみました。
分厚いノートにしたのには理由があります。
これから始まる大プロジェクトの一部始終を、メモから何から全部記録して残しておこうと思ったのです。
人間、真面目に働きさえすれば、借金なんて自然に返せるものだと固く信じていましたから、繰り上げ返済で少しでも早く借金をなくそうなどという発想がありませんでした。
家とクルマのほかに子どもの教育ローンを組んでいましたが、家のローンなど返済を始めてから30年近くにもなるのだから、残りわずかなものだろうと思っていました。
現実を知り受け止める
実社会での経済感覚というのは、義務教育の段階できちんと教えておくべきだと思います。
知らないがゆえに恐れも知らないのです。
言い訳三昧です。
往生際が悪いとはこのことをいうのでしょうか。
自分が悪いのに人のせいにしているのもどうかと思いますが、結局、借金というのはなかなか減るものではないようです。
人生の後半にさしかかり、ようやく現実の厳しさを学びました。もう少し早く知りたかったとしみじみ思います。
かくして我が家の負債額を具体的な数字として目の当たりにすることとなりました。
その分厚いノートの見開きに冷酷にも洗い出されたローンは8件ありました。
家については住宅金融公庫、職場の貸出システム、銀行の3件のローン。
クルマはディーラーの系列会社から。
あとは教育ローンを銀行から4件です。
具体的な額は、あまりにも恥ずかしいので控えさせていただきますが、ざっとン千万円とだけ申し上げておきます。
ノリとやる気
その無機質な数字が私に語りかけるのです。
「さあ、どうする?」と。
以前の私だったら、この時点できっと諦めていたと思います。
ところが不思議なことに、このタイミングでの運命的な出会いです。
ある本に出会って人生観が大きく変わりました。
堀江貴文さんの「本音で生きる」(SB新書)です。
副題に「一秒も後悔しない強い生き方」とあります。
切羽詰まってあとがないという事情もさることながら、堀江さんの「必要なのは、ノリとやる気だ」という言葉に触発され、とにかく前へ前へと走り出しました。