沖縄メモ

本部半島の問題

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名護市を一望
名護市を一望

爽快ドライブ

名護市から本部町へ向かうには、海沿いのオーシャンビュールート、緑や花を楽しめる山間ルート、あるいは八重岳の山中を走破する山岳ルートを通ります。

普通は、よく整備された海沿いの国道449号を使います。
かかる時間も一番早いです。
何といっても、晴れた日は気分最高です。
オーシャンビューの快適ドライブですから。

オーシャンビューといえば、私は国道58号線の許田の海岸線を名護市内方面に向かうのが大好きです。
来たぞ〜!北部!って感じです。

今は移住して北部の住人になったので、帰って来たぞ〜!なのですが、何回通ってもワクワクする道です。
青い海と名護市街と本部半島が目の前に広がる海岸沿いのお気に入りルートです。

海岸線をしばらく走ると名護の街に入り、右に市役所、左に21世紀の森公園。
道は大きく右へカーブして行きます。

カーブの手前で左に分かれる旧道がありますが、そちらは騒音や危険を減らすため大型車両の通行を遠慮してもらっています。
そういう案内表示もあるのですが、なかなか浸透していないのが現状です。

右へカーブしたその先、「宮里4丁目(北)」という交差点を左折すると本部町へのバイパス機能を持った国道449号線へ。
直進すればそのまま北上し、本島最北端の辺戸岬へと向かいます。

449号線は、屋部(やぶ)の「屋部(西)」という交差点で先程左に分かれた旧道と合流します。
ほどなくすると左手に海が広がり、思わず写真を撮りたくなるようなスポットに出ます。

その先に辺野古への埋め立て用土砂を搬出する桟橋への入り口があります。
平日であれば左側に反対派市民グループと警備に携わるヒトの姿、反対車線には本部町方面から土砂を運んで来るダンプカーの行列が見えるのですぐ分かります。

絶景ルートなのに

そこを通り過ぎると再び海岸沿いの絶景ルートとなります。
空の青と海の青との境目を貫いていくような爽快な道です。

そんなハイな気分で、そのまま本部町へ続いていれば何も言うことはありません。
ところが、誰もがこのあたりでちょっとした違和感を覚えることになるのです。

右前方に見えてくる山が丸裸で、テッペンは切り崩され平らになっているのです。
かつて埼玉県の武甲山という山に登ったことがあるのですが、この丸裸の山を見たときに武甲山の山容が蘇ってきました。
武甲山はその北側斜面が石灰岩質のため、生コン会社が採掘し続けており、すっかり丸裸となっています。

この絶景ルート上、名護市の安和(あわ)から本部町の崎本部(さきもとぶ)にかけては砕石会社が立ち並んでいます。
この辺は県内最大の採石場で、那覇空港第2滑走路埋め立ての土砂を供給してきました。
また、現在は辺野古沖の新基地埋め立てに土砂を供給し続けています。

先ほどご説明した桟橋へは、ここで削られた土砂が運ばれているのです。
ひっきりなしに行き交うダンプカーで土ぼこりが舞い上がり、あたりの景色は茶色くかすんで見えます。

工事関係のかたから聞いたのですが、内地では普通に採れるゴロゴロとした硬い石、ここ沖縄では本部半島のこの砕石場でしか採れないのだそうです。
だから埋め立てに必要な硬い石の需要が増えたり減ったりすると、直に影響を受けるのだそうです。

それにしても、この山が全部なくなったら、その跡地はどうなるのでしょうか。
ここを通るたびに、フッとそんなことを考えてしまいます。

それより、いつも顔をしかめてしまうのはこの土ぼこりです。

散水車で朝夕道路に水をまいて対策を取っているようですが、痛しかゆしとでも言いましょうか。
水をまかなければ土ぼこりが今以上にひどい状態になってしまうでしょうし、まいたらまいたでタイヤが跳ね上げる泥しぶきでクルマが真っ茶色になってしまうのです。

2車線道路なのですが、ダンプカーの脇を走ろうものなら洗車したてのクルマが一瞬にして泥まみれとなります。

砕石会社やセメント会社が共同で散水しているようですが、どうも効果が上がりません。
散水車で土ぼこりに水を撒き、回転ブラシの付いた清掃車で路面の汚れをこすり取るのですが、次から次へと走り抜けるダンプカーから飛び散る泥水の量には追いつかないのです。
ダンプカーが砕石場から出るときに、汚れを流すためのシャワーをくぐるのですが、それがアダになっているような気もします。

曖昧にしたくないこと

土ぼこりだけが問題というわけではありません。
ダンプカーが積載している土砂からの飛び石も大問題だと思います。

クルマのボディーが傷付く程度であれば大問題などとは言えないのかも知れませんが、場合によってはフロントガラスが割れて事故につながる恐れもあります。

この付近を走っていると、想像以上に路上の小石が目に付きます。
どれくらいの大きさを小石というのか分かりませんが、コブシ大を超える大きさのものもよく見かけます。

こんなのが直撃したらと思うとゾッとします。

これはもう土砂の積載方法に問題があるとしか思えません。
積載量を増やそうとしてオーバーしているのかも知れません。

責任を明らかにしておくべきです。
曖昧にしておいてはいけないのです。
こういうことを問題だと思わないことこそが問題ですから。

沖縄の土木工事を支え、インフラを整備するために必要な土砂の供給だとは分かっていても、かたや観光で成り立っている地域であることも事実です。

観光で訪れた皆さんに気持ちよくドライブしてもらうためにも早急に対策を考えるべきだと思います。

名護市や本部町はこの状態をどう受け止めているのでしょうか。
昨日今日のにわか住民ですが、だからこそ問題点や矛盾点を敏感に察知してしまいます。

ザ・沖縄

一流の観光地「ザ・沖縄」であるからには、おもてなしに妥協があってはならないとも思います。
沖縄は、特筆すべき何かを持たない地方とは比べようもない有利な環境を持っています。

だからといってその環境を維持していく努力を怠ったり、改善し続ける熱意を失ってしまえば、非日常を求め期待を抱いてやって来る観光客を大きく落胆させてしまうことにならないでしょうか。
一度失った信頼を取り戻すのは大変です、とはよく言われているところです。

世界には数知れないほどの観光地があり、それぞれが毎日必死に集客のためにあれこれ策を練っているでしょう。
そういう恒常的な努力を惜しまない観光地を相手に、有利な環境を当たり前に享受しているだけという姿勢だとすれば勝負の行方が心配です。

私が旅行するときも、行く先々で心を配って頂けることは嬉しいものですし、一度良い印象を持つと妙に肩入れして、また次の機会もここに来ようという気になりますが、怖いのはその逆です。

流行りに左右されないリピーターを獲得するために、一つ一つの問題を鋭くキャッチし、誠実に対応していくべきではないでしょうか。

そんな姿勢が、世情の影響を受けにくい安定した観光地であり続けるためのポイントかも知れません。

新型コロナウイルスで世界が揺れているこの時期に、閑散とした沖縄の隅っこでそんなことを思いながら家に引きこもっています。

またお客さんがたくさんお出でになることを願いつつ。

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